カウンセリングや心理の話でよく耳にする「認知を変える」という言葉。
確かに、考え方を少し変えるだけで気持ちが軽くなったり、行動が変わったりすることは多くあります。
けれど最近、認知行動療法の大野裕先生の講演でとても印象的な言葉がありました。
「その人にとってのスキーマ(認知の枠組み)は、防衛反応でもある」
つまり、ただ“変える”ことが目的ではなく、それがどんなふうに自分を守ってきたのかを理解することこそが大切なのです。
1. スキーマとは何か?──心のレンズのようなもの
スキーマとは、私たちが世界を見るときに使う“心のレンズ”のようなものです。
過去の経験から、「人はこういうもの」「自分はこうあるべき」と信じている考え方のパターンのこと。
たとえば、
- 「人に頼ると迷惑をかける」
- 「頑張らないと認めてもらえない」
- 「我慢しないと愛されない」
こうした思い込みは、ネガティブなだけの存在ではありません。
過去に傷ついた経験や不安を避けるために、自分を守る仕組みとして形成された“心の防衛装置”でもあるのです。
2. スキーマは“悪者”ではなく、“守ってきた味方”
たとえば「人に頼ると迷惑をかける」と信じている人は、
かつて誰かに拒まれた経験があったのかもしれません。
そのときの「もう傷つきたくない」という気持ちが、
「自分で頑張ればいい」「人に甘えない方が安全」という信念を生み出しました。
つまり、そのスキーマは「生き抜くための戦略」だったのです。
そう考えると、“変えるべきもの”というより、“ありがとう”と声をかけたくなる存在かもしれませんね。
3. 「変える」よりも「理解して和らげる」
カウンセリングでは、「認知を変える」ことよりも、
「その考えがどんな役割を果たしてきたか」を丁寧に理解していくことが重要です。
たとえば、
「努力しないと認められない」 → 「努力することは大切。でも、休んでもいい」
「我慢しないと関係が壊れる」 → 「自分を大切にしながら関係を築くこともできる」
このように、スキーマを“否定して上書き”するのではなく、
少し柔らかくしてあげるイメージです。
防衛としての役割を認めた上で、新しい選択肢を自分の中に増やしていく。
これが、心が穏やかに変化していくプロセスです。
4. 婚活や恋愛にも深く関わるスキーマ
婚活や恋愛の場面でも、スキーマはしばしば表れます。
たとえば、
- 「相手に合わせなきゃ嫌われる」
- 「頑張らないと愛されない」
- 「私なんて幸せになれるわけがない」
こうした信念が無意識に行動を制限し、関係を難しくしてしまうことがあります。
でもそれは、「あなたが間違っているから」ではなく、
これまでの人生で傷つかないように守ってきた証。
その仕組みを責めるのではなく、理解していくことが新しい一歩につながります。
5. スキーマを癒す第一歩は、「自分への共感」
スキーマを手放すのは、力ずくではできません。
まず必要なのは、「そんな考え方を持っている自分を責めないこと」。
「そう思ってしまうのは、過去の私が一生懸命守ってきたからだ」
と気づくだけでも、心の緊張が少しほどけていきます。
そして、その柔らかくなったスペースに、
「今の私に本当に必要な考え方はなんだろう?」と問いかけてみる。
これが、スキーマの再編成のスタートラインです。
💗 天神マリッジラボからのメッセージ
婚活や恋愛においても、「考え方を変えること」がうまくいかないと感じる方は多いです。
でも、それは“意志の弱さ”ではなく、“心が守りに入っている”というサインかもしれません。
天神マリッジラボでは、カウンセリングを通して、
あなたの中にあるスキーマを理解し、やさしく整えていくサポートをしています。
“変える”ではなく、“受け止めて癒す”ことで、
本来のあなたらしい恋愛や結婚への道が、きっと見えてきます。
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